12/2の「折々のことば」を読んで、笑いました。
折々のことば:3281 鷲田清一(2024年12月2日)
小便の身ぶるひ笑へきりぎりす(小林一茶)・・・いかに屈強な男子といえども生理には勝てず、始末もつけられない。放尿とてそのなごりにも出そびれにもきっぱり切りをつけえぬ人の中途半端。・・・
長谷川櫂さんの「小林一茶」という著書から、だそうです。
まあ、誰でも経験のある事ですね。
小林一茶も排尿後に震えていたのか、う~む、そりゃそうだが、なんだかなぁ。
★なぜ震えるのか?
俗説では
温かい小便が出て行ったために熱を失って、体温が下がって震える
のだそうですが。
これウソでしょ。
鍋でお湯を沸かして沸騰させます。沸騰したら火を切って、コップ1杯湯をくみ出します。
コップ1杯分の熱を失ったから、鍋の湯の温度が下がる。
まさかね。鍋には量は減ったけど100度の湯が残ってますよね。
同じことですが。
薬缶から沸騰したお湯を空の魔法瓶に注いだら、薬缶は熱を失って冷たくなる。
ナンテ・あり得ないでしょ。
排尿も同じことです。
実感としては、排尿の終わりのところで、少し腹圧をあげ、グッと尿道を絞ろうとします。
この尿道を絞るという動作、あるいはそういう神経系の活動、が震えを誘発しているように感じています。
★体温が低下したときに筋肉を動かして震える、というのは確かです。
体温が下がる→血液温が下がる→視床下部が血液温の低下を検知する→体を震わせるよう指示を出す→震える
こういう道筋が必要なんですね。
「血液温の低下を検知する」というのはどこが「検知」するのでしょうね。
視床下部なんです。
↓参考に
ミネルバクリニック
視床下部視床下部が関与している体の機能視床下部は、小さいながらも脳の重要な部分です。視床下部の主な役割は、身体をできるだけホメオスタシス(恒常性)に保つことです。ホメオスタシスとは、健康的でバランスのとれた身体の状態を意味します。体は常にこのバランスを取ろうとしています。例えば、空腹感は、脳が宿主に「ホメオスタシスを実現するためには、もっと栄養が必要だ」と知らせるためのものです。視床下部は、そのために内分泌系と神経系をつなぐ役割を果たしています。視床下部は、以下のような身体の多くの重要な機能に関与しています。体温・喉の渇き・食欲・体重のコントロール・感情・睡眠サイクル・性欲・出産・血圧・心拍数・消化液の分泌・体液バランスの調整体内のさまざまなシステムや部位から脳に信号が送られると、視床下部に対処すべきバランスの崩れた要因が伝えられます。視床下部はそれを受けて、適切なホルモンを血流に放出し、体のバランスを整えます。例えば、人間は体温を37℃前後に保つことができますが、これも体の恒常性(ホメオスタシス)の一例です。視床下部は、体温が高すぎるという信号を受け取ると、体に汗をかくように指示します。視床下部は、逆に温度が低すぎるという信号を受け取ると、体を震わせて自分で熱を作り出すように指示します。
それなりに時間のかかる経路でして、排尿が終了したとたんに震える、なんてことには視床下部は関与できませんね。
★私は高校2年のとき、大腸ポリプの手術をしました。
手術後、医師たちは手術台を離れ、なにか打ち合わせのようなことをしていましたが。
手術台上の私は、なぜか突然寒気を覚えてブルブルと震えだした。
体に大きな傷ができたので、免疫系が活動を始めたのでしょう。多分、免疫系としては体温が高めの方が効率的なんでしょう。
で、体温を挙げてくれという要求をインターフェロンのような形で血液に放出する。それを受けた視床下部では血液温の設定値を少し高くする。そうすると、今流れている血液温が設定値より低くなるので「寒い」と感じる。で、体の震えを起こして体温をあげようとしたのですね。
★もういっちょ
病室へ運び戻された私は、なんだかひどく喉の渇きを感じました。
ちょうどその時、生理的食塩水の点滴が始まったのですが、点滴が始まった直後、喉のあたりにひんやりとしたさわやかな感覚が生じたのです。点滴の液は腕から入っているのに、喉が潤う、不思議だなぁと思いました。
よく考えると、血液の浸透圧を視床下部で測定していて、濃くなると「喉の渇き」という感覚を生じさせるのでしょうね。で、生理的食塩水の点滴で、浸透圧が正常に戻ってきたことを検知した。その時、喉越しがすっきりとさわやかな感覚を生じさせるのだと思います。
★もっと
「キリギリス」というのが、昔は「コオロギ」のことだった、という話も聞きます。
秋の七草のに「アサガオ」というのが入っていて、これは「桔梗」のことだというのと、似てますね。
で、私のイメージとしてはキリギリスは草むらで出会う。一茶は草むらで立ちションしたのかな?そうしたらそばでキリギリスが「ギーッ チョン」とか鳴いて「からかわれた」ように感じたのかな。
コオロギの鳴き声は「コロコロ」とか「リーリー」とか表現されますが、小便の音とか、身震いの表現としてはコオロギの方がいいのかな、という気もします。
コオロギなら草むらでも鳴くけど、家の中などでも聞くことがあります。キリギリスよりは人間生活になじみがあるんじゃないか。
とまぁ。どっちでもいいですけどね。
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